百年の一日

インドとお酒に溺れている岡本の日々

ドキュメンタリー”1984, When the Sun didn't Rise"

奇跡的でありがたいご縁と幸運のおかげで、1984年のシク教徒虐殺に関する素晴らしいドキュメンタリー映画を作った監督さんと会い、そのフィルムスクリーニングに参加することができました。

Teena Kaur監督の撮ったドキュメンタリー、"1984, when the sun didn't rise"は、1984年にデリーで起こった暴動後を生きる人々を追った作品です。

www.youtube.com

 

Teenaはムンバイに住んでますが、主な撮影場所はデリーのTilak Viharで、数年かけてここの住人と信頼関係を築いてこの映画を撮ったそうです。このTilak Viharは暴動の被害者が集まって住んでいるエリアで、私が現在調査している場所でもあります。

作中では泥棒で生計を立てている、というかドラッグを買っているドラッグ中毒の男性も出てくるんですが、その男性が「1984年の出来事さえなければ、父親が生きていれば、俺たちは今頃アメリカで生活してたんだ」と話すシーンは、ハッと考えさせられるものがありました。

デリーの中でのTilak Viharの住人に対する差別は、今回調査をしている中でだんだんとわかってきました。彼らのことをanti-social peopleだとはっきり名指す人もいます。泥棒、レイプ犯、ドラッグ中毒者の住むエリア…それは一部では事実だけど、その背景に“1984”があったこと、いまアメリカに住んでいるインド人の誰かが、彼の代わりにそうなる可能性があったことを、忘れてはいけない。

 

Teenaとは上映前に一回、上映後に一回、お茶をしました。めちゃくちゃフランクで、チャーミングで、ちょっと天然ボケです。会うと刺激をもらえるし、なんか元気やヤル気が出てくる。

このドキュメンタリーを作ったTeenaを日本に呼んで、フィルムを上映する場を作りたいと思っています。ていうか、もう「日本に呼ぶね!!」と約束しちゃった。

とりあえず所属大学に掛け合ってみるつもりですが、他に何かいい方法や機会があれば、ぜひ教えてくださいな。

 

料理に逃げる日々

最近、料理にはまっている。というか、料理に逃げている。

書き起こしがつらすぎる。特に、ラージャスターニー訛りのヒンディー語を書き起こすのが本当につらい。

あまりこういう言葉は使いたくないのだけど、いわゆるuneducatedな人の使うヒンディー語は文法的にも間違っていることが多く、例えば被修飾語は女性名詞なのに形容詞(修飾語)を男性名詞にかけるように変化させたりする。

そこに加えてところどころラージャスターニー訛りやヒンディー語ではない単語が出てくると、もう……つらさ爆発。

まあ、単純に私のヒンディー語スキルが未熟だということですわ。

 

そんなわけで息抜きに料理してます。インドの家庭料理を教えてくれるおばちゃんがいるので、素朴な味のカレーを毎日作って食べております。

そのうちレシピ公開します。

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書き起こし作業中

先日までの調査活動で録りためたインタビューや会話などを書き起こしてます。
調査の中で一番地味なくせに超疲れる嫌な作業です。ヒンディー語のキーボード入力やりにくいねん。

 

10時間分くらい音源があるんですが、2日間で10時間弱かかって30分ほどの書き起こしが終わったかどうかです。このペースだと、単純計算で全部書き起こすのに200時間かかるのかな?え?なにそれ?何日?

というわけで、日本に帰国してからも忙しくなりそうです。。

 

ヒンディー語は、Bhasha Indiaというサイトで公開されているソフトで入力しています。

BhashaIndia :: Download Indian language tools and utilities

Microsoftは最初から「トラディショナルキー」という方式でヒンディー語の入力ができるようになっているんですが、これがキーボードのアルファベットと対応してないので非常に使いにくい。多分トラディショナルとか言ってるくらいだから、インド人はこっちのほうが打ちやすいのかもしれないけど。

上記のBhasha Indiaというサイトのソフトは、キーボードのアルファベットと対応している(フォネティック)なので、感覚的にやりやすい。

とはいえ、あくまでMicrosoftの入力方式と比べたらの話。たとえば潜在母音をぜんぶ打たないと結合文字になってしまったり、”औ”は「oo」「ao」と入れても出ず「au」と入れないといけない。(確かに正しい発音は「オー」ではないけど、つい癖で「oo」と入れてしまう…)

 

できれば予測変換付きで、ooと入れちゃっても勝手に直してくれたり、スペルミスしても正しいスペルに置き換えてくれるソフトがあれば良いなあ。
どうもGoogleの入力ツールがそんな感じらしいので、試してみるかどうか考え中です。

Try Google Input Tools online – Google Input Tools

 

 

10月の勉強時間と振り返り

10月の勉強時間(分)は2262分。時間にして37時間ちょい。

2000分を超えたと思うと「おおー」と思うけど、平均して1日1時間くらいしか勉強してないということなので、全然まだまだでした。

 

10月1、2日のあたりはインド行く直前でバタバタしていて勉強できず、後半の勉強してない日は主に調査活動で外出がメインだったようなときです。たぶん。(調査活動は勉強時間外)

 

11月は10月を超えることを目標にがんばる。

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うっとうしい季節を終えて

ついこの間まで天気予報に「うっとうしい」と表示されるほどの気温だったのに、いつの間にか涼しくなっていた。ディワーリーのあとは何故かいつも涼しくなる。そんなことインド人ならみんな知っている。月の満ち欠けと共に生きる方が、太陽暦で暮らすよりよっぽど自然なことなのだろう。

デリーの冬はきちんと寒い。今年も寒くなる気配がする。一年で一番好きな季節。今回はデリーで冬を迎える前に帰国だけども。


ハロウィンっぽさの全くないインドで迎える3回目の秋。
33年前の今日、インディラ・ガンディーが暗殺され、夜中からデリーで暴動が始まり、3000人のシク教徒が殺された。そしていまだに、主犯は誰も逮捕されていない。

明日から3日間は、彼らの追悼式典に参加してきます。研究の一環でもあるけれど、個人的にずっと彼らを弔いたいというか、向き合ってみたいと思っていた。

そしてありがたいことに、色んなご縁が繋がって通訳と解説をしてくれる人が見つかりました。今まで儀式の意味も歌の意味もちんぷんかんぷんでしたが、これでようやく3年越しに意味がわかりそうです。笑


「笑っている時は笑っている、それでも悲しみは心の中にずっとある」
インタビューの中で聞いた言葉。つらい記憶を掘り返して話を聞かせてくれている人々を裏切らないためにも、もっと頑張って良い研究成果を残したい。彼らについて、本を書きたい。

それはお前の欲望のためなんじゃないか、お前が出世するために彼らが使われているだけじゃないか、と言われれば、正直、何て答えたら良いのかわからない。ただ、とにかく彼らを裏切りたくないという気持ちだけは嘘じゃない。

 

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外国語の習得はどうやったらできるのか②

前回の続きみたいなもんです。

bharatiiya.hatenablog.com

 

前回、「習得っていっても目的によって必要なレベルやスキルが違うよね。まず目的を持とうね」っていう前提みたいな話をしました。

そこから話を進めると、次に大事なのは単語なんじゃないかと思います。

勉強で大切なことはいかに継続するか、です。当たり前だけど、語学だってやり続けないと上達しません。(ものすごい天才は除く)

で、そう考えると単語を覚えることはやっぱり大切です。

語学のスキルは主に「リスニング(聴いて理解できること)」「リーディング(読んで理解できること)」「ライティング(物事を書いて伝えられること)」「スピーキング(物事を話して伝えられること)」に分けられますが、単語を知らないと何にも理解できないし何にも伝えられない。それだと面白くないので勉強するモチベーションを維持できない。少なくとも私は無理っす。

 

単語より文法を優先する人もいますが、ぶっちゃけ日常会話で全く使わない文法もあるので、それこそ目的にあわせて文法にどれくらい重きを置くか決めればいいと思ってます。

ヒンディー語みたいに馴染みのない文字の場合は、文字が読めるようになることも大切ですが、まあ、これも会話が目的の人なら後回しにしても良いと思います。けっこう大変ですが、アルファベットやカタカナで無理やり表記できるしね。
ちなみに自分は文字を真っ先に叩き込みますが、それは現地調査をするために「文字を読むこと」が必須だからです。あと、私は単語を書いて覚えるタイプなのも関係してます。

 

さて、単語をどうやって覚えるか。

これが多分、色んな人がつまづいてるところなんじゃないかなーと思います。自分も単語を覚えるのは苦手だし、10年やってるヒンディー語だってまだまだ語彙力が未熟です。

単語を覚えるのは、よっぽど記憶力の良いおばけみたいな天才じゃないかぎり、地道にやるしかない。とにかく繰り返すこと。ていうかそうじゃない方法があるなら教えてほしい。

書いて覚えられる人、見て覚えられる人、聞いて覚えられる人、色々組み合わせて覚えられる人と、方法自体は色々あると思うんですが、記憶には忘却曲線ってのがあるんで、覚えたことは時間経過とともに必ず忘れます。脳みその構造が同じである限り全員そうです。前日に学習した単語の1割未満しか翌日覚えてないっていう事例もあるそうな。

記憶を維持するためには、定着するまで何度でも繰り返す必要がある。

昔通ってた予備校の先生が「覚えたものは忘れるために覚えていると思え」「忘れて記憶して、を繰り返していると、そのうち覚えたという実感もないまま自然に出てくるようになる。それが“定着”だ」みたいなことを言ってました。

というわけなんで、単語帳に何回も同じ単語を書いてしまう何度も同じ単語を辞書で引いてしまう前日覚えていた単語が出てこない、みたいな話は当たり前なんです。
それでも心折れずに、馬鹿みたいに何度も同じことを繰り返すことで、ようやく単語を覚える(定着させる)ことができるんです。

人によってその繰り返しの回数は異なると思います。それはたぶん、記憶力の良さとか要領の良さとかが関係してるんでしょう。あと、実際に会話の中や作文の中で使ってみると繰り返す回数が減るような気もします。インプットだけじゃなくてアウトプットしたほうが良いってことですね。なんでなのか知らんけど。

 

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私は要領が悪い人間の典型例みたいなやつなので、一つの単語を覚えるのにめちゃくちゃ時間がかかります。1ヵ月以上かかっても覚えられない単語があります。
時々、「岡本さんは語彙力あるよね」って言われるけど、それは10年間、忘れては覚えて…を馬鹿みたいに繰り返してきたからです。もっと要領良い人なら10年で私の倍は覚えられる。

それでもインド関係の仕事で食べていくことを目的にしている限り、ネイティブ並に言葉が話せるようになりたいと思うし、単語をもっとたくさん、深く知りたいと思う。

 

まとめると、単語を覚えるには「心折れないこと」が大切だなと。忘れて覚えてを繰り返すのが基本。

以上っす。

 

次に書くことあるかわからないけど、書くのであれば「アウトプットとインプット」について書くかなあ。

外国語の習得はどうやったらできるのか①

多分もう何千万人(もっとか?)が今までに考えてきた、考えつくされたテーマだと思う、「外国語の習得」。そんな大それたテーマに新しく付け加えることは何もないんですけど、なんか私の周りで「どうやったら○○語ができるようになるんだろう」みたいな話をよく聞くので、自分なりに考えてみました。

 

そもそも何をもって「習得」とするのかも定義が曖昧ですが、そこらへんは自分の目的にあわせて考えればいいんだと思ってます。

ビジネスマンが一人で出張しても困らないように英語を習得するのと、研究者が英語論文書くために英語を習得する、では求められるスキルやレベル(専門用語とかも含め)が異なってくるでしょう。どっちがレベル高い低いではなくてね。

「でも文法は必須だよねー」…ということもなく、例えばバックパッカーにとっては正しい英文法を習得するよりも、とにかく英単語を詰め込んだり耳を慣らしてリスニング能力を高めたりするほうが役に立ったりします。会話するのも最低限の文法知識があれば問題ないでしょう。たとえば過去時制がわからないと結構つらいけど、過去完了形がわからなくても普通の会話では困りません。

 

というわけで、言語の「習得」というラインもその人の目的によって変わるもんです。言語を習得するために一番大事なのは目的なんだよってお話。

 

じゃあ、目的が特にないまま外国語を勉強するとどうなるのか?

これは実体験ではっきり言えますが、まったく上達しません!!!笑 (語学が趣味の人の場合は違うかもしれませんが)

私は外国語ばっか教えてる変わった大学の学生だったので、なんとなく面白そうだなというだけでマラヤーラム語(インド・ケーララ州の言語)とベンガル語チベット語スワヒリ語を履修してましたが、このうちベンガル語以外はほとんど話せないままで終わりました。文字や文法も履修終わって数日後には忘れているレベル。まあ、私がめちゃくちゃ不真面目な生徒だったということもあるんですけど。

なんでベンガル語だけ少しはできるようになったかというと、ベンガル語圏の街・コルカタにホームステイしていたことがあって、その家族や友人と連絡を取る時にベンガル語を使えたら面白いだろうなという考え(目的)があったからでした。(でももう文字の読み方忘れた)

韓国語も少しわかるんですが、これも会社で仕事をしていたときに韓国向けの取引をしていて、そのうち一人で出張に行かせてもらうようになったので、嫌でもやらなくちゃいけなくなったからです。

 

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まったく読めないけど、これはタミル語かな。読みたいという強い気持ちがあれば勉強するモチベーションになるし、本当に読めるようになる。

 

 

なんか長くなりそうなので、いったん終わり。

次は「単語をどうやって覚えるか」について考えてみようと思います。