百年の一日

インドとお酒に溺れている岡本の日々 (web→ https://lit.link/okapindia)

10月28日(火) 楽しくなければやめてよい

今日は西荻窪で「猫の髭」というお店を間借りしてイベント営業の日。
去年まで同じく西荻窪でミュージック・バーをやっていたおじいちゃん店主と一緒にお店に立つので、よろしければお気軽に足をお運びくださいませ!

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【アクセス】
東京都杉並区西荻南2丁目27−7 コートクレイン

 

さて、「お気軽にどうぞ」なんて書いておきながら突然のぶっちゃけバナシ。
私はフード担当なのだけど、特にインド料理を作ることに喜びを見出しているわけではないので、少しずつこの仕込みを負担に感じつつある。

 

インドの民族誌を書いている人類学者(のたまご)なので、インドの一般民衆の生活や食文化に関心はあるし、ある程度の知識や体験もある。留学と現地調査の期間をあわせて累計3年ほどはデリーに住んでいて、その期間ずっと一般のインド人のおうちに下宿させてもらっていたから、料理だってある程度は作れる。
ただ、この「関心がある」「作れる」というレベルと、「好きで楽しくて作りたくて仕方ない」というレベルの間には、ものすごーーーい差があると思う。好きでやっている人の料理には、味、再現度、見た目の美しさ、どれをとっても絶対に及ばない。どんなに知識があっても、それを作りたいという熱意がなければ並び立つことさえできないと感じる。

 

私の場合、料理すること自体は好きだ。今まで作ったことがないものを作ってみることにもワクワクする。
ただ、インド料理縛りにして作ることに楽しさを特に感じない。私が好きなのは、自分の食べたいものを食べたいときに作ること、そしてそれを自分で食べ、親しい人に食べてもらうこと。

要するに、そもそも飲食店をやれるタイプの人間ではないのだ。

 

冒頭でいきなり飲食店をやれないという話を繰り広げておきながら何なのだけど、私は人とおしゃべりしたり、集まった人同士で楽しそうにおしゃべりしているのを眺めるのは好きだ。だから飲食店に立つこと自体は好きだし、楽しいし、向いている方だと思う。隔月で間借り営業しているちゃちゃぶんというバー営業もとても楽しくやらせてもらっている。

つまり苦手なのはフードの仕込みだけで、これがなければお店に立つのももっと気が楽なのになあ、と。

それでも今のところ仕込みを続けられているのは、インドの屋台飯(チャートと呼ばれる軽食)を作っているからだと思う。
実は私は、インドで一番好きな料理の系統はチャート(軽食)なのだ。サブジー(野菜系のカレー全般)もダール(豆系のカレー全般)も好きだし、チキンもマトンもカレーとして食べるけれど、いっちばん好んで食べるのはチャートである。栄養バランスさえ気にしなくていいなら毎食チャートでいいくらい。

チャートとは、たとえば有名なサモサという三角形の揚げ物や、モモという蒸し餃子、マギーというインスタント麺、プリというクラッカーを使ったもの(セブプリ、ベルプリ、ダヒプリ、パニプリなど)、アールーティッキーというコロッケ的な食べ物など、一食あたり50円から100円で済むような食べ物たちだ。そのへんの屋台で売っている。
食べすぎるとインド人ですらお腹を壊したりもするような食べ物で、私もたびたびお腹を壊しているが、ただそのジャンクな味がたまらなく好みなのだった。

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日本だとまだあまりチャート専門店というものを見かけない。(新大久保のシディークはフードコーナーで取り扱っているけど)日本の場合はインド料理店でおつまみや前菜のようなポジションにチャートがラインナップされているけれど、インドだと屋台だけでなく、チャートを専門に出すお店(スイーツショップやベーカリーに併設されていたりする)も多いし、バラナシの超有名なチャート専門店は開店前から人が並んでいたりもする。
いつでもどこでも手軽に食べられて、インド人に広く人気がある。それがチャートなのだ。

そういう文化があるよ、と紹介するのは楽しそうだと思っているので、それがモチベになって昨日もせっせとマトンのモモやパニプリの仕込みをした。
週替わりでいろんなチャートを出しているのは私が飽き性だからで、同じものを作り続けることができないタイプの人間だから。どうもすみません。

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このモチベもいつまで続くかわからない。楽しくなくなったらやめようと思っている。フードなしのストロングスタイルで営業してやろうと。繰り返しだけど、お店に立っていろんな人とおしゃべりしたり飲んだりするのは楽しいから好きなんだ。
フードがなくなったら売り上げは当然下がるのだろうけれど、それよりも私は心のケアを重視したい。喜びの少ないことを自分に我慢させてやらせることはできない。

 

そういえばカレーを作ったらどうかと言われることも多いのだけど、今のところはぜんっぜんカレーを作って売りたいと思わないので(公開調理して作り方を広めていくのは楽しそうだけど)、曖昧な返事をしたまま笑顔でごまかして過ごしている。

 

好きで楽しいことをやり続けるのが一番。
とことん生きるのがへたっちょな人間だけど、今日もがんばろう。