百年の一日

インドとお酒に溺れている岡本の日々 (web→ https://lit.link/okapindia)

10月27日(月) 歩く葦

この土日は「東京エクストリームウォーク」という100キロのウルトラウォーク大会に参加してきた。25時間45分かかり、朝10:13に無事に完歩。
雨と寒さに心折れそうになりながらもお得意の負けず嫌いを発揮して、意地で到達したゴールであった。

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雨風に晒されながら、「私は何でこんな過酷な思いをしながら歩いているんだろう?」と考えてしまう場面もときどきあった。冷静になるとこんなつらい大会に出る意味がわからない。当日は母の誕生日ということもあり、なんで私は母の誕生日を祝わんでこんな頭のおかしい競技をしているのだろう、と信号待ちのたびに至極まっとうなツッコミを自分に入れていた。
でもまあ、それでも歩きたい理由はわかっている。

例えばこういうウルトラウォーク大会だと、普段行かないエリアに行けるので観光や食べ歩きが楽しい。エイドで参加者同士が励ましあっていたり、運営やスタッフさんが応援してくれたりと、一体感があるのも良い。エイドで配られる補給食でご当地のものが出たりすると「来てよかったぁ」という気持ちにもなる。

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ただ、基本的には、歩くことが好きだから歩いている。
特に夜歩くことが大好きだ。夜に街を歩いていると「この夜がずっと続いて、この道をずっと歩き続けられたらいいのになあ」と思ったりもする。寝静まった街、そこにぽつぽつ灯る明かり、誰かの一日の終わりと始まり。働く人、飲む人、くつろぐ人、起き出す人、眠る人。夜の街は美しい。人の生活の気配が濃く漂っている。

別に大会に出なくてもいいし、私は普段から10〜20キロくらいなら一人で夜の街を歩いて楽しんでいる。でも大会に出れば真夜中でも安心して歩けるし、誘導の板や係員が立っていたりするから、それさえ見逃さなければ道に迷わないで済む。
いろんなことを気にせず、街の気配を感じながら歩くことに集中できる。

 

もっと突き詰めると、歩きながら何かを感じたり考えたりすることが好きだ。

歩いていると、自分の体の輪郭を突然ハッと強く感じられる瞬間がある。私の体はこうなっていたのか、と不思議なくらい意識させられる瞬間があるのだ。
初めて一人で参加した今年3月の100キロウォーク大会で、私は自分の右足の形が左足の形と全然違うことに気がついた。足の輪郭が体感でわかったような感じ。他にも、指先まで体が緊張していることや、肩にぎゅっと力が入っていることなど、突然「あれ?!」と自分の体の形や力の入り方を俯瞰して見られた。
あの感覚を忘れられなくて、100キロ歩くことにこだわり続けている気がする。

そして歩いていると、いろんな考えが頭に浮かぶ。最初は日常の悩みや将来の悩み。論文のことや書きたい文章のこととか。それらが通り過ぎたあと、世界ってなんだろうとか、他者って誰だろうとか、もっと抽象的な思考がやってくる。さらにそれらも過ぎたあとは、自分の体の感覚、呼吸、痛み、そして街の気配、風やにおい、熱気や冷気など、考えるというよりただただ感じているような時間がやってくる。

何かを考えている時間帯も心地よいし、考えて考えて考えた挙句に考えることがなくなって(24時間連続して何かを考えているとそりゃそうなる)、五感に集中せざるをえなくなった感じもよい。

人は考える葦だという。思考が人の特性であり、自然に立ち向かう方法なのだと。ただ、考えに考えて考えた先にあるのは、自然と溶け合うような感覚なのかもしれない。ただただ足を動かし歩き続ける葦もまた人間。足と葦。。。いや、なんでもないです。

 

まあともかく、食べ歩き、夜を味わい、思考と五感を楽しむ。
それが私にとっての「歩くこと」の楽しさで、ウルトラウォーク大会に参加するモチベになっている。タイムアタックや自分との闘いというものに興味がない。体の感じている感覚を素直に楽しみつつ、時間ギリギリ掛かってもいいから、コース沿いの美味しそうなものや名産品を食べたい。

もちろん食べ歩いた結果としてリタイアしたり制限時間に間に合わないのは格好悪いから、まずはちゃんと完歩する体力や自信を身につけること。それが当分の目標だ。
今回は小田原から東京を目指すコースで、序盤のあたりでさつまあげを買えて嬉しかった。ただ、もう一つ食べたいと思っていた夜24時までやっているクレープ屋さんには立ち寄れなくて残念だった。(土砂降りの雨でテイクアウトには不向きで、しかし閉店間際だったので店内で食べられる状態でもなく)

さらに今回は、大会中ずっと降り続いた雨で、衣服の濡れや靴の濡れ、それによる足の裏のマメなどが気になって、体の輪郭が浮かび上がるような感覚を味わえなかったのも残念だった。これは私の集中力不足もあるのだろうけど。私が好きなのは天気さえも気にしないで歩き続ける、外部条件を気にしなくていい環境なんだなと思う。

 

これらを勘案するに、次回から一日中雨が予報されているような大会はDNS(Do Not Start、出場辞退)しようと思う。出場したら負けず嫌いを発揮して完歩を目指してしまうのは自分の性格上わかりきっているから。

 

なので来月11月の京都ウルトラウォーク、どうか晴れますように!!
今から徳を積んでおきたい。