急にぐっと寒くなったからか、飼い猫のムギさんの調子があまり良くない。
もともとストルバイト結晶ができやすいようで、下部尿路疾患と診断されてからフードはずっと療法食なのだが、それでも最近またストルバイトが出ているようである。トイレを痛がっていて可哀想で、なんとかなるかはわからないが、とりあえず夕方に動物病院にかかることになった。
こうやってお世話をしているとき、私はムギさんを「支えている」とか「庇護している」というような気持ちになるのだけど、メンタルの波が激しくて鬱になるとどこまでも沈み込んでしまう私は、ムギさんの存在によっていつも助けられている。部屋で泣いていると、気づけば隣にいて体を摺り寄せてくる。体温を感じさせてくれる。あたたかい塊を抱きしめてぐすぐす泣くことを許してくれる。ムギさんに支えられているのだ。
この世の全てはこういうものなのかもしれない、と思った。守り、守られる。与え、与えられる。自分が受け取っているたくさんの愛情や優しさに、すぐに気づけるような人間になりたいと思った。
最近落ち込むというか悩んでしまうような出来事があって、まあだいたい私は3日に1回は落ち込んでいるような人間なので茶飯事ではあるのだけど、トラブルなく苛立ちや感情の荒波にも揉まれず、もっとスムーズに生きていけたらいいのになあと思う。
恐怖や悲しみでぐちゃぐちゃな心の支えになるのは、昔はムギさんくらいだったかもしれない。親にも友人にも最終的にはわかってもらえない、という思い込みが私を孤独にしていた。
でも今は違う。友人や親や弟が、常連店の店主たちが、最近出会ったソウルメイトが、そして何よりも恋人が、私のことをわかってくれているという途轍もない安心感がある。たくさんの庇護を与えてもらっていると感じる。それを私もお返ししたい。愛には愛でお返しを。
特に最近、恋人にすごく守られていたんだなあと感じることがあった。些細な出来事だったけど、この人はずっと私を大切に思ってくれていて、私が傷ついたりしないように守りながら、私のリクエストに最大限答えようと頑張ってくれていたんだな、と。
「早く結婚したいのに」とぶつくさ彼に対して思っていた頃は、こういう強さや優しさに気付いていなかったし、そんな状態で同居したり結婚したりしても、きっと彼に不満ばかり募るようになっていたと思う。だから今のうちに彼の素敵なところをどんどん発見できて本当に良かった。
お返しがしたい、とずっと考えている。ときどき忘れてしまって彼に物足りないとばかりに要求してしまうこともあるけど、でも思い出すたびに胸があったかくなるから、こっちが本当の願いなのだと思う。
彼が私といる時間くらいはゆったりとくつろげるように。鎧を脱げるように。おどけなくていいように。仮面をとれるように。自分に無理をさせず、自然と、人に安らぎを与えられるような人間になりたい。