百年の一日

インドとお酒に溺れている岡本の日々

「彼女たちは待っていた」

オリンピックの"延期"が決まった街中では、相変わらずTOKYO 2020のPRフラッグが飾られている。

来年夏に延期されても呼称は「TOKYO 2020」を継続するのだと元首相が言っていた。この災厄があと数ヶ月で完全に、全世界で終息し、全世界のスポーツ選手が平等にトレーニングに勤しみ、平等に来年の夏に東京に集まれるのだと心の底から信じている顔で。

 

はためくオリンピックフラッグを見て、去年の夏に国立新美術館で見た「話しているのは誰?」展に出ていた小林エリカの作品を思い出した。

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第二次世界大戦のせいで中止になった東京でのオリンピック、そこにギリシャから運ばれてくるはずの聖火を待つ少女たち。だけど聖火は東京にはやってこない。かわりに、東京には無数の焼夷弾、広島と長崎には核爆弾が降り注ぐ。原子・ウランは、ドイツで発見されたのだった。

 

来年、果たしてこれまでと同じ世界でオリンピックを迎えられるのかと、疑問に思う。

どこも国境を閉ざし、自国を最優先に対応せざるをえなくなったこの状況を乗り越えた後に、以前と同じように「国際協調」や「国際支援」を掲げる世界に戻れるのだろうか。オリンピックで一丸となれるのだろうか、本当に。

 

聖火はすでにやってきた。だけど灯され続けるかどうかはわからない。